近日公開:あなたが観たい映画。ただしその前に、予告編30分
映画館で予告編を観ながら、ふと「あれ、今日は何の映画を観に来たんだっけ?」と思ったことはありませんか? 20〜25分も予告編が続くと、私はよく本編のことを忘れてしまいます。これは私たちトイレダッシュ (RunPee) のPeepsにとっては特につらいところで、というのも、私たちは別に観たくもない映画を観に行っていることがよくあるからです。でも、そう感じているのは私たちだけじゃないですよね?
そこでふと考えました。どの映画の前にどの予告編を流すかは、どうやって決まっているのだろう? もちろんテーマはあります。ホラー映画を観に行けば、これから公開されるホラー映画の予告編をたくさん観ることになりますし、マーベル映画ならアクション映画の予告編、といった具合です。でも、実はそれだけではありません。もっと、ずっと奥が深いのです。
ちょっとした歴史
予告編は英語でトレーラー(trailer=後ろに引っぱられるもの)と呼ばれますが、映画の前に流れるのになぜ「後ろ」なのでしょう? それは昔々、1913年ごろには、予告編は本当に本編が終わった後に流れていたからです。記録に残る最初の予告編は、宣伝マンのニルス・グランランドが、近日上演予定のブロードウェイ・ミュージカルのリハーサル映像を編集し、チケットの売り込みに使ったものでした。その1年後、グランランドは実際の映画――チャーリー・チャップリン主演作――を宣伝する予告編をつくりました。
映画の前に流す予告編は誰が決めているのか?
この決定には主に2つの立場の思惑が絡んでいて、両者はたいてい一致しています。ひとつは、その映画を公開する製作スタジオ。自社が公開するほかの映画の予告編を流したいわけです。そしてもちろん、今後上映する予定の映画を宣伝したい映画館側。意見が食い違えば妥協点を探ることになりますが、製作会社がディズニーの場合は別です。ディズニーは自分たちの要求を通しますし、通らなければその映画館チェーンには今後の新作を回さない、というわけです。
たとえばユニバーサル製作の映画を観ているとしましょう。ユニバーサルは、似たジャンルの自社の近日公開作の予告編をいくつか流すよう条件をつけます。そしてそうした予告編は、必ずではないものの、たいてい最初に流れます。そのあとに、映画館が上映したいと考えているユニバーサル以外の近日公開作の予告編が続きます。もちろん、製作会社が映画館にお金を払って自社作品の予告編を流してもらうこともあります。
映画の前に流れる予告編は、上映期間中に変わることもあります。大作の公開初週末には、翌週末よりも多くの予告編が流れるかもしれません。劇場がほぼ満席になるのは誰の目にも明らかなので、予告編を流す価値が高くなるのです。本編が始まる直前の枠ならなおさらです。映画館はその予告編枠を売ることでちょっとした臨時収入を得られます。でも1〜2週間もすれば、その予告編は上映リストから外されます。
トイレダッシュ (RunPee) に最も多い機能リクエスト
これまでにいただいた機能リクエストの中で、ダントツに多いのが「映画ごとに予告編がどれくらい続くか教えてほしい」というものです。でも、もうおわかりですよね。予告編の本数は映画館ごとに違いますし、同じ映画でも上映期間中に変わることがあるので、このリクエストにお応えするのは不可能なのです。
それでも時間を最大限有効に使いたいという方に、私からできる一番のアドバイスはこちらです。
- なるべく同じ映画館で観るようにして、その館の予告編の傾向をつかんでおきましょう。たとえば私は、AMC(米国の大手シネコンチェーン)では毎回必ず、約2分半の「AMC:映画をもっと素晴らしく」という宣伝映像を見せられることを知っています。(追記:ありがたいことに、ニコール・キッドマンのあのくだりがようやく元の3分の1くらいの長さまで短縮されました。)
- 大作を公開初週末に観るなら、予告編が多めに流れると思って間違いありません。
- 公開から何週間、何か月も経った映画を観るなら、予告編の本数はおそらく減っています。
- アート系・インディーズ系の映画なら、予告編はたぶんかなり短めです。
どの予告編がどの映画と組み合わされるのか?
先ほど触れたように、この決定には製作会社と映画館の両方が関わっていますが、それぞれは具体的にどうやって流す予告編を決めているのでしょう? 広告業界の人たちは自分たちを賢く見せないといけないので、クアドラント・システム(四分割方式)なるものを考え出しました。クアドラント・システムとは、映画の観客を「25歳未満の女性」「25歳未満の男性」「25歳以上の女性」「25歳以上の男性」の4つのグループに分ける考え方です。これが基本の区分ですが、実際にはもう少し細やかな判断があることを願いたいところです。たとえば恋愛映画なら、アクション映画の予告編を1本混ぜておくのは悪くない手かもしれません。カップルで観に来ている人が多いと見込んで、男性のほうが「ほら、このラブコメに付き合ったんだから、次は『(ここにアクション映画のタイトル)』を観ようよ」と言えるように、というわけです。
面白いことに、私はユーザー投票のデータを見ることができ、そこでは映画の評価が性別・年齢別に分かれています。そのデータから断言できますが、男性のほうが女性よりアクション映画が好きというのは迷信です。アクション映画を観に行くのは男性のほうが多いのかもしれませんが、評価は一貫して女性のほうが高いのです。それに、ジャンルの境界があいまいな映画もあります。1作目の『デッドプール』は、ロマンスのあるアクション映画だったのでしょうか、それともアクションのある恋愛映画だったのでしょうか?
予告編は何本までなら許せますか?
最近は予告編が多すぎるというのが大方の意見だと思います。今は観たいときにYouTubeで簡単に予告編を観られるのですから、なおさらです。
https://twitter.com/RunPee/status/1779531931220107461
豆知識
中国でも映画の前にCMや予告編はありますが、チケットに「19時開始」と書いてあれば、本編はぴったり19時に始まります。予告編を観たいなら、早めに映画館に着いておく必要があります。
ほかの国ではどうなっているのか気になります。お住まいの国の仕組みが米国と違うなら、ぜひ下のコメント欄で教えてください。

